なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

popIn Aladdinを先行予約で買った

 popIn Aladdinというスマートプロジェクターを買ってしまいました。

 元々テレビが欲しいなー、と思っていて、でも子供がいるから事故とか画面の破損とか怖いなー、とも思っていて。そんな中でプロジェクターをテレビ代わりに使うというのは悪い選択肢ではないなぁ、と思っていました。で、プロジェクターなら天井からぶら下げて、電源はシーリングから取れるといいなぁ、映像は無線で飛ばしてさぁ、などと夢をみていたのです。

 そしたらその夢にぴったり合う品が見つかり、それがpopIn Aladdinでした。

 公式サイトはこちら↓

aladdin.popin.cc

 こちらの商品、シーリングライトになり、プロジェクターになり、BluetoothスピーカーにもなるAndroid搭載機なのです。新し過ぎる。

 で、5月6日まで二子玉川蔦屋家電で体験ストアが出展されているということで早速行ってきました。

store.tsite.jp

 個人的に確認したかったことはただ1点。テレビの代わりになるのか?ということです。そのため、次のような質問をしてきました。

Q. 明るい部屋でも見えるか?

A. 暗い部屋で見るよりは薄くなるけれど、このくらいの明るさでも問題なく見えるかと思う。

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部屋の明るさと投映画面の明るさの比

 この写真、加工などは特に入れていないし撮った時の明るさがそのまま素直に反映されていると思うので、このくらいの明るさでは問題ないと思っていいと思います。というか、私は問題ないと判断しました。

Q. 我が家ではテレビコンテンツはtorneで見ているけれど、torneを投影できるか?

A. 製品の出荷までにはできるようにする予定。

 なるほど、といった感じです。現状ではAirPlayで投影したり、popIn Aladdin自体にtorneをインストールしてそれを映すことはできないらしいのですが、対応予定ということで納得です。

 で、ここがクリアできてれば十分テレビ代わりにはなるだろうと思い、納得の上お買い上げ決定しました。

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本体の様子

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投影された画面の様子

 その他、いろいろ聞いてきたことや調べたことを以下に箇条書きします。

  • 基本的には朝晩に寝室で使うことを想定した商品。
  • 朝晩に合わせて厳選したポジティブなニュースを寝室に配信する。
  • 子供向けコンテンツは充実させている。子供向けのなぜなにコーナーなどは声優さんに朗読をお願いしている。YouTube Kidsが使える。
  • 明るさは700ルーメン。この明るさは寝室で見るのにちょうどいい、明るすぎず暗すぎずで設定した。
  • スピーカーはharman/kardon。Bluetoothスピーカーとしても使える。
  • シーリングライトとしては、調光、調色機能搭載。
  • スマホの画面なども投影できる。
  • 搭載するAndroidに自由にアプリをインストールしたりはできない。
  • レンズは上下に稼働し画面の高さ調整ができる。加えて台形補正機能付き。
  • スクリーンがなくても壁に投影ができる。
  • 稼働音はエアコン程度の大きさ(35dB)。
  • 解像度は1280x800(WXGA)。
  • 投影面まで1.5mで約60インチの投影サイズになる。投影面までの距離が0.5m長くなるごとに画面サイズは20インチほど大きくなる。2.0mでは80インチ。
  • AirPlay / DLNA / Miracast対応
  • 先行予約価格は44,800円だが、実売価格は99,000円ほどになる予定。

 でも、ここまで聞いて予約購入までしたのに発売日を聞くのを忘れたうっかりさんです(^^;)。今問い合わせ中なので、お返事が来たら追記します。

まとめ

 この機能の充実ぶりで先行予約価格の44,800円は正直破格ではないかと。4万円台で買えるテレビは40〜50インチ程ですし、プロジェクターの同価格帯のものと比べても基礎スペックだけでちゃんと張り合えてます。

 これでWi-FiBluetooth対応でスピーカーとライトがついててAndroid搭載で取り付け簡単で……とか並べていったら確かに実売予定格の99,000円が相当に思えます。

 というわけでお買い上げしてしまいました。

 実物が届いたらまたレビューしたいと思います。

 ちなみに、先行予約は5月31日までの受付、更に5月6日まで抽選での全額キャッシュバックキャンペーンをやっています。詳しくはfacebookの公式ページ、 https://www.facebook.com/popInAladdin/ をご覧になってみてください。私はちゃっかり応募しました(笑)。

 本当に届くのが楽しみです。

 

【2018年10月6日追記】

 発売日について問い合わせたところ、9月には届くという話だったのですが、先日メールが。関西の台風の影響で生産に滞りが生じ、10月9日から順次発送という日程になったようです。

 届くまであと少し。楽しみです。

 

【2018年11月18日追記】

 もう結構前に届いて記事も書いていたのにリンクを忘れていました。

 届いて1週間の時点でのレビューは以下です。

kze.hatenadiary.jp

ネットが豊かにするコミックアート世界

 ネットが普及してそろそろ20年くらいになるかと思います。この20年、大きな変化がたくさんありました。

 この記事では、コミックアート分野の成長に目を向けます。

 この20年でコミックアート分野はものすごく飛躍しました。全体のレベルが底上げされただけではなく、トップ層のレベルも上昇したのです。

 この成長には、デジタルツールも当然寄与していますが、それ以上にネットの影響が大きいのではないかと思っています。

 ネットを通じて素晴らしい絵に触れ、一歩でも半歩でもその絵よりも前に進んだ絵を描く。そんなことを様々な絵描きの人が実現してきたからこそトップ層のレベルが進歩したのだと思います。

 また、ネットを通じて素晴らしい絵に触れ、一歩でも半歩でもその絵に近づこうとして絵を描く。そんなことを様々な人々が実現してきたからこそ、全体のレベル向上があるのだと思います。

 これはすべてネットによる恩恵なのです。

 そんな中で弊害も語られます。曰く、今のクラスで1番の絵が描ける才能のある人はいきなり世界レベルと比べられてしまい絵を辞めてしまう、という話です。

 でも、個人的にはあまりそれは当たらないのではないかな、と思います。残酷な話ですが、壁に行き当たって辞めてしまう人はどこかで必ず辞めてしまうからです。絵を続けるのならばどこかで必ず壁に行き当たるのですから。

 それよりは、クラスで1番の絵が描ける才能のある人が早いうちから世界レベルと自分を比べてもっと良い絵を描こうと取り組むようになることの方がずっと良いことだと思います。成長を軸に考えた場合、井の中の蛙であることの方がよっぽど怖いとおもうのです。

 そして以前にもブログに書きましたが、ネットには数字がついて回ります。ある絵が何万もの人に見てもらえたことがわかる代わりに、ある絵は30人くらいにしか見てもらえてないこともわかるようになりました。後者の側の人たちの気持ちは大変厳しいものがあります。

 けれども逆に、あまり見てもらえてないけれども続けている人の姿というのも見えるのです。そしてそうした姿勢を持った人々がいるからこそ、全体のレベル底上げが成ったのだろうと思います。

 そしてさらに、少ししか絵を見てもらえてなくても、見てくれた人の顔がネットを通じて見えることもある、というのが最近の個人的な学びでした。先日、10年くらい前の絵を再投稿したところこの絵を覚えているとSNSでおっしゃってくれている方を発見したのです。これは非常に嬉しかったです。

 そういうこともあるので、やっぱりネットはコミックアート分野の世界を非常に豊かにしてくれたと個人的には思うのでした。

セル画についての基礎知識

 セル画とは、90年代くらいまでのアニメを作る時に使っていた特殊な画材を使った絵のことを指します。
 少年ジャンプ展Vol.2で展示されていたスラムダンクのアニメOPがセル画の良さを存分に引き出したリマスターをされていたので、ちょっと自分が知ってるセル画についての知識を語りたくなりました。
 ソースはセル画の彩色職人だった知り合いの方のお話とお仕事見学とその後の調べによる知識です。

 セル画の特殊なところは、セルと呼ばれる透明なフィルムに絵を描くところです。
 日本で一般的なセルアニメーションは、このセルにキャラクターなどの動かすところを描いて、背景の上に重ね、一コマずつ映像用のフィルムに撮影していきます。
 背景とセル画を組み合わせた絵を一コマ撮影したら、キャラクターの絵だけ次の動きを描いたセルに入れ替えて、また一コマ撮影する。それを繰り返して動きのある映像用フィルムを作っていくのです。
 映像用フィルムの仕組みがわからない人は『8ミリ フィルム』あたりで検索してみるといいと思います。

 で、そんな用途で使うので、背景を透かさないようにするために、そして透明なセルにちゃんと塗れるように、特別に作られた特殊な絵の具を使います。
 加えてかなりの厚塗りをします。
 この厚塗りというのはCGの技法の厚塗りではなく、物理的に絵の具が分厚いという意味です。1ミリくらいの厚さはあると思います。
 この絵の具はセルの裏側から塗ります。そうすることで、透明なセルを表から見た時に色むらがなくなるのです。
 先ほど軽く説明をしましたが、セルアニメはセル画にキャラクターの動きを一枚ずつ描いて、一コマ撮影するごとに次の動きのセルに入れ替えてまた撮影します。そのため、塗りムラがあるとキャラクターの顔色などが一瞬ごとに違うという出来上がりになってしまいます。
 それを防ぐためにも、塗りムラができないように特殊な絵の具と特殊な塗り方が要求されるのです。
 また、撮影の際にはかなり強い光をあてるので、光を透かさないということも非常に重要です。

 特殊な塗り方について、もう少し説明します。
 アニメ塗りは基本的に黒いキャラクター線で色を塗り分けます。この黒いキャラクター線は、彩色職人さんのところにセルが届いた時点でセルに描かれています。
 これは、動画に描かれた鉛筆の黒鉛を、特殊な機械を使ってセルの表に写し取ることで描かれます。
 でも、例えば人物の影やハイライトなどは黒い線以外のところで色が塗り分けられています。
 この色の塗り分けの実現方法ですが、色トレスと呼ばれる技術を使います。
 色トレスでは、塗りたい色の絵の具をつけペンにつけて、動画の色指定が描かれた色鉛筆の線をセル画にトレスします。この色鉛筆の線は特殊な機械ではセルに写し取れないからです。これは彩色職人さんの仕事です。
 色トレスには、セルの表からトレスする方法とセルの裏側からトレスする方法の2種類があります。一般的なテレビアニメーションでは表側からトレスしますが、例えば雑誌用の一枚絵などといった手をかけられるセル画の場合は裏側からトレスします。
 なぜ色は裏に塗るのに色トレスは表にするのか?ということですが、これはセル画の色ぬりミスの修正方法と関係があります。
 セル画の色ぬりをミスしたらどうするのか?時間がタイトなテレビアニメでは最初から塗り直す時間はなかなかありません。また、先ほども説明した通り、絵の具はセル画にかなり分厚く塗られます。なので、竹でできたヘラを使って、はみ出したところ、間違えたところを削り取るのです。
 この削り取りをする時に、色トレスの線も絵の具と同じように裏側から描かれていたら、それまでヘラで削り取られてしまいます。
 なので、色トレスの線は表に描いて修正時に一緒に削り取られないようにするのです。
 しかし、厚塗り用のモッタリした絵の具で表側に線を描くと、その分表側に厚みが出ます。その表側の厚みは、時に撮影時の光で影を作ります。時々古いアニメを見ていると、色の境界線がはっきり見えることがありますが、それは表側の色トレス線が作った影によるものです。
 そのため、一枚絵などのなるべく綺麗に撮影したいセル画では、色トレスを裏側からします。修正の時に色トレス線まで削り取っても、線ごと丁寧に修正をします。それだけの時間をかけられるからです。
 もしくは、そんな修正などすることのない凄腕塗り師が仕事をします。

 そして、これまでの話を総合すると大体察しがついてくるかもしれませんが、セル画の色ぬりは通常の絵と違って細かいところから塗っていきます。
 セル画の裏側から、細かいところから塗っていけば、大きなところを塗っている時に細かいところに多少はみ出しても、表から見たときの出来には影響しません。
 そのためには、色を一箇所塗るごとにしっかりと乾かすことが重要です。なので、彩色職人さんたちは何枚ものセル画を並行で塗っていきます。一箇所塗って乾かしている間に他のセルを塗るのです。
 絵の具を乾かすことは、色を混ぜないようにするためにも非常に重要です。
 彩色職人さんたちは絵の具の色を混ぜないようにすることにも非常に気を使います。アニメーションのセル画は多くの人の手で大量生産されるので、絵の具も均質であることが重要です。そのため、手元で色が混ざらないよう、色ぬりに使う筆を洗う水にも気を使うのです。

 そして、セル画は通常何枚も重ねます。一人のキャラクターを一枚のセル画に描くのではなく、キャラクターの動く部分と動かない部分を複数のセル画に分けるのです。
 一番わかりやすいのはキャラクターの口パクだと思います。Aセルにはキャラクターの口以外の顔を描いて、Bセルに口を描きます。そして、撮影の際にAセルとBセルを重ねて、一コマ撮影するごとにBセルだけ入れ替えて口だけ動くことを表現するのです。
 知り合いの彩色職人さんのお仕事見学をした時、口だけが描かれたセル画が何枚もずらっと乾かされている光景を目にしたことがあります。そのセル画を見た時、口しか描かれてないなんてもったいないなと思い、その職人さんに言ったことがあります。そうしたら、そんなことはないんだよ、とお返事をいただきました。今となっては、動かない部分に絵の具と手をかける方がよほどもったいないとわかります。

 セル画は重ねるものなので、下のセルになるほどわずかにぼやけます。
 また、90年代のテレビは今ほど画質が綺麗ではないので、そこでもぼやけます。
 そのぼやけ方がセルアニメーションの味なのではないかと個人的には思うのです。
 冒頭に書いたジャンプ展で展示されていたスラムダンクのアニメのOP映像はそのぼやけを非常に綺麗に演出したリマスターがされた映像でした。ジャンプ展は非常に素晴らしい展示でしたが、1、2を争うくらいに印象に残りました。
 なので、セル画についてとりとめもなく知っていることをつらつらと語らせていただきました。
 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 

【参考書籍】 

アニメーションの色職人

アニメーションの色職人

 

  セル画についての解説というよりも仕事に対する姿勢についてのインタビュー本です。ジブリの色設計を支えた保田道世さんに対するインタビューが載っています。

 

色彩王国〈2〉

色彩王国〈2〉

 

 彩色の技法本なのですが、セル画の塗り方に関する実際的なテクニックが載っています。

 

作画汗まみれ 増補改訂版

作画汗まみれ 増補改訂版

 

  アニメーションの作画の歴史を知りたいならこの一冊ではないかと思います。日本でまだフルアニメーションが作られていた、鉄腕アトム以前の話が読めるのはこの本くらいではないでしょうか?