なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

捨てる怖さの先にあるもの(本当に欲しいのはそれのはず)

 私にはやりたいことがたくさんある。お絵描きがしたいし、ゲームも遊びたいし、楽器もやりたいし、本も読みたいし、勉強もしたい。

 私は子どもの頃にこれが全部できていた。なんで出来ていたのかは分からないけれど、とにかくこれらを並行して楽しんでいた。きっとあの頃の時間は今より長かったに違いない。

 でも40歳になって気づく。というか前からうっすら気づいていたけれども認めていなかった事実と向き合う心の準備がやっといくらか出てきた。

 なぜ子どもの頃にやりたいことを全部できていたのか分からないと言ったな。あれは嘘だ。いや、それも嘘でちょっと考えれば分かることを今まで考えたことがなかったのだ。

 その事実とは単純で、生活費を稼ぐ労働も家庭を維持するための労働もみんな自分の両親に押し付けていたからだ。一方の私は学校に行って部活をやって帰ってきたらゲームにお絵描きに本読みを悠々自適に満喫していた。

 そして大人になってみて、同じことができなくなっていることに愕然とする。

 私はアホなので、大人になると時間を短く感じるってのは本当なのか!と独り合点をすることで今まで過ごしてきた。

 けれども違う。

 人生には生活があり、生活は労働に支えられていた。子どもの頃に担わなくてよかったそれらの負担を、今、やっているのだ。

 子どもの頃と比べて時間がないのは当たり前の話だ。

 今までもうっすらと気がついていたが、ここにきてはっきり分かったことがある。それは両手で抱えているやりたいことのうち、何かを捨てなくてはならないということだ。

 本当は何も捨てなくてもいいのかも知れない。

 けれども、やりたいことで何らかの結果を出したいのならば、どれかを捨てなければならない。ある程度の時間もかけずに結果を得ることはまず無理だからだ。

 しかし、こんな単純なことに気がついていなかった私はかなりがっかり系の人なんだなと思った。

それは予言されていたかのように

 今日もキーボードを叩くのを楽しみに文章を書こうと思う。

 しかし、今日話す内容は全面的に愉快な話というわけではない。それでも、私の心に刺さった棘ではあるから、キーボードを叩くことでその棘をなるべく抜いてしまいたいとも思っている。

 今日はある集まりでさまざまな子ども向けの本の紹介を聞いてきた。同時に、私も紹介してきた。

 紹介した本は、「はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!」(くぼまちこ・作)と、「クリスマスのおかいもの」(たしろちさと・作)だ。

www.alicekan.com

bookclub.kodansha.co.jp

 どちらも読み聞かせをしていると気持ちが温かくなる本だ。

 だが、紹介しようと一瞬思ったけれど諦めた本もある。それは、私が子どもの頃に繰り返し読んだ本だった。

 私の両親はあまり絵本を買わない人たちで、家にあった絵本は5冊もなかったと思う。その数少ない絵本の一つが、「かんくちょう」だった。

 元は仏教の説話だったらしく、話の内容としては「アリとキリギリス」が近い。

 なぜこの絵本を紹介できなかったのかというと、出版社が某宗教団体の出版部門だからである。私の家は、この宗教団体を割とマイルドに、だが2世代にわたって(つまり私は宗教3世にあたる)信奉する家だった。

 しかし私は、家にあった他のどの絵本よりもこのかんくちょうが好きだった。なぜそんなに好きだったのかはもう理由が分析できるほど記憶が鮮明ではない。

 だが、昼は遊び呆けて夜になるとその寒さに「明日こそ巣を作るぞ」と決心をするも、昼になるとまた遊び呆けてしまう寒苦鳥が、決して嫌いではなかったと思う。

 今、大人になってみると、自分の性根がこの寒苦鳥と大差ないことが分かる。

 それが何かを予言されていたようで、今でも時々思い出しては、そこに棘が刺さっていることを確認している気がする。

ディオールのパッケージを描くアーティストが選んだ、ある日本のボールペン

 今年のホリデーギフトを色々見てたら、以下のページを見つけました。
www.dior.com

 10万超えのアドベントカレンダー、すごいですね。

 でも私が本当にすごいと思ったのはそこじゃなくて、このページから見れる動画でこのホリデーギフトのパッケージを描いている様子があるのですが、そこで使われているのがボールペンなのです。

 絵を描くのが趣味の人間としては気になってしょうがない。

 なので動画にボールペンが映ってるシーンをよく見て、使われているのがどのボールペンなのか調べてしまいました。

 それは、パイロットのG2 07、型番で言うとLG-20F-Lというものでした。

 これは定価220円の、特に画材用ではない普通の文房具です。

 それでこの美麗なパッケージが描かれていると考えると、本当にすごい。

 弘法筆を選ばずといいますが、それをさまざまと見せつけられました。

 でも多分、筆を選びに選んだらこのボールペンになったという方が近そうです。

 このボールペンを愛用しているアーティストは Pietro Ruffo 氏。

 世界トップレベルのアーティストに選ばれるパイロットのボールペン、凄みを感じます。

 YouTube の公式動画も見つけたので貼っておきます。

youtu.be