君は、いつも僕を見たこともない世界に連れて行ってくれる。
そして僕は君に連れられて、見知らぬ人々と出会い、世界中を駆けめぐり、君の喜び悲しみを一緒に感じる。
これは物語そのものだ。
けれども物語には終わりがやってくる。君と僕が別れなければならない時がやってくるのだ。
君と別れてからも、僕は君のことを想う。物語が終わった世界で、君はどう生きているのだろうと。
ある君は王様になったり、ある君はお父さんの後を継いだり、ある君はその行方が知れなくなっていたりする。
いずれにせよ僕は心から思う。君が、幸せになっているようにと。
君は、何度も出会った君たちは、いつも僕を幸せにしてくれた。
君を通して見る冒険の世界は決して幸せなことだけではなかったけれど、それも含めて僕には幸せな思い出なのだ。
今一緒に冒険している君も、もう長い付き合いだ。今までたくさんの君たちとの別れがあったように、いつか君とも別れる日が来るのだろう。
その別れがまた、幸せなものであることを願うよ。
そして別れた後の君が、僕がいなくなった世界でも幸せに生きていることを、心より願うよ。
主人公という名の、もう一人の僕へ。